初めに
みなさん、こんにちは。以前以下の記事で「行ってみたいジャズ喫茶」のひとつでいーぐるを挙げていましたが、今日少し時間ができたので、実際「ジャズ喫茶いーぐる」に行ってみました。大体14時頃から1時間ほど過ごしました。
本当に素晴らしい場所で、音楽を聴いたり、雑誌を読んだりしていたらあっという間に1時間過ごしていました笑。ジャズ喫茶いーぐるについて、ちょっと興味があるけど若干ハードルを感じて行けていない方向けに、以下の流れでご紹介させていただきます。
- ジャズ喫茶いーぐるについて
- 店内で流れていた音楽について
- 店内の資料を見て学んだこと
ジャズ喫茶いーぐるについて
ジャズ喫茶いーぐるについて
ジャズ喫茶いーぐるは、なんと1967年から営業している「超老舗」のジャズ喫茶です。1967年から今まで56年間開催されているということは、なんと半世紀以上経営をされているということですね。
おそらくジャズ喫茶としてはかなり有名だと思うのですが、私はあまり知らず、「ジャズを学び、ジャズ喫茶に行きたい」という記事で紹介させていただいた『マンガでわかるジャズ: 歴史からミュージシャン、専門用語などを楽しく解説! 』で初めて「ジャズ喫茶」の存在を知り、ずっと行く機会をうかがっていました。
外観について
外観についてですが、まず、私は勝手に路地裏にあるイメージで考えていたのですが、新宿通りでびっくりしました笑。
覗いていくと、店内からのジャズのベースの音が聞こえてきて胸が高鳴ります。
そして、さらに地下に下っていく階段には、ジャズのポスターが所狭しと張られていました。
店内の環境について
そうして店内に入ります。
いーぐるは、「(回転から夕方6時までは)話をすることは禁止」「イヤホンも禁止」と結構ルールが厳しめ?なので、PCとかも禁止なのかなぁ、本読んでてもダメなのかなぁとか結構ビビッていたのですが笑、なんと、Wi-Fiや、コンセントも有りでしたし、また、実際パソコンで作業している方もいらっしゃいました。
全体的に非常に清潔感があり、過ごしやすい環境です(老舗って香りも「老舗感」があるイメージがありました笑)。
入店後、ちょうど一番奥のスピーカーの間の席に座り、カフェオレを注文しました。
店内にいる人の雰囲気
基本的に一人で来ている人ばかりでした。本を読む人、静かに目をつぶってジャズを集中して聞いている人、ぼーっとしている人、いろいろな方々がいらっしゃいました。また、年齢層も非常に幅広い印象です。
私はいつも店に入るとBGMに集中してしまうタイプなので、雑音+BGMにはとても慣れているのですが、いーぐるでは、会話の音がないことで非常にクリアにジャズを楽しむことができ、とても心地よかったです。
店内で流れていた音楽について
音量等について
さて、一番のメイントピックの音楽についてです。ジャズ喫茶については、「爆音でジャズを聴く」といわれる印象があります。今回も、ライブハウスにいるような相当な爆音ではないかと思い覚悟して行ったのですが笑、いーぐるでは、確かに音は大きいのですが、うるさくはならない、「心地よく聴ける最大の音量」という感じでした。
店にいたときに流れていた音楽
ジャズについては正直ほとんど知識がないのですが、いーぐるでは、現在流しているCD・レコードを皆さんが見える場所においてくれるので、とても助かりました。ちなみに、私が居たときにかかっていたCDは以下の通りです。
①Tony Purrone 「In The Heath Zone」
②Monty Alexander7「JAMENTO」
①は結構ギターが前に出てきている曲だなぁと思ったら、Tony Purroneはジャズギタリストなんですね(参考)。②については、確かにジャズの音楽ですが、若干ビートがラテン系の明るい雰囲気でした。
知識がないので、メモをしたうえでiPadで一生懸命調べながら学んでいました笑。
スピーカー・音源
ちなみに、家庭環境では良いスピーカーで大音量は流せないですし、レコードもほとんど聞いたことがないので、今回ジャズ喫茶に訪問して、①スピーカーの良さと②レコードの音の良さとを実感することができればと思っていました。
いーぐるのオーディオは、JBL 4344 Mark Ⅱということです(ホームページ参照)。あまりスピーカーには詳しくないのですが、重低音が当然しっかり響いている割には、中高音域の邪魔になっておらず、迫力のあるサウンドと各音域の表現のバランスの良さが両立しているように思いました。今後別のところに行って経験を積んで、スピーカーとの違い等についても実感したいなと思います。
他方、今回いーぐるではCDを流していたので、レコードの音質については確認することができませんでした。ちなみに、CDは一定の周波数の範囲でしか録音ができないのに対し、レコードはCDでは録音しきれない周波数の音も録音できるので、より「良い音」が出るという話をきいたことがあります。この説の検証については、また今度にしたいと思います
店内の資料を見て学んだこと
店内にあるジャズに関する資料
店内には、ジャズに関する書籍や雑誌がたくさん置かれています。店主の後藤氏もたくさん書籍を出版されていて圧倒されますし、また、様々な角度からジャズを分析した本の種類の多さにも衝撃を受けました。
また、私がとても興味を引いたのは、「いーぐる連続講演」の記録です。なんと1994年から今まで約30年間の記録がファイリングされていて、それを見ることができます。
雑誌『GATEWAY TO JAZZ KISSA VOL.2』
いろいろ見ていて印象に残ったのが『GATEWAY TO JAZZ KISSA VOL.2』という雑誌です。なんと1冊丸ごと全部いーぐるについての特集です。雑誌の企画としては、1店舗のみを絞って出版するというのはかなり尖った方針ですし、ふと気になって読んでみることにしました(こちらは現在は絶版です)。
そうしたら、その中には店主の後藤氏の半生がご紹介されており、特に立ち上げの時期は激動だったらしく、その話を読みとても胸が熱くなりました。
後藤氏のいーぐる立上げの経緯
大体雑誌の中にあった記事の内容を要約すると立上げの経緯は以下のような流れだったようです。なお、以下の内容は上記雑誌から内容を紹介していますが、コピー等ができず、若干不正確な要約になっている可能性がある点はあらかじめご容赦いただければと思います。
①1967年
後藤氏が店主になります。このとき後藤氏は20歳で大学生でした。
②1969年前後(推測)
後藤氏は、大学の卒業時期にジャズ店主のまま継続するか、会社に卒業したか悩みました。そして、後藤氏は、ジャズを人生をかけるに値するかどうか悩んだ際、茂木信三郎君(※筆者注:関係性はよくわかりませんでした)に対し、「ジャズで最も偉大な音楽家は誰か」と聞いたところ「それはチャーリー・パーカーではないか」との回答を得ました。その後、店が閉店した後、チャーリー・パーカーの曲を聴きまくったところ、あるとき突然、ジャズは人生をかけるに値すると確信するに至ったそうです。その結果、後藤氏は店主としての道を選ぶことにしました。
③1973年:今の場所への移転と方針転換
さらに、もともといーぐるは今の場所とは別の場所にあり、今あった場所には後藤氏が経営する別のロック喫茶があったそうです。ただ、ロック喫茶は経営不振となり閉店するに至り、また、元々ジャズ喫茶いーぐるがあった場所が立ち退きをしなければならない状況だったことから、ロック喫茶をジャズ喫茶に変えて営業をすることになりました。
この時点で、後藤氏はプロとしての意識を持ち、ジャズ喫茶経営は趣味ですべきものではないと考え、スピーカー等もそのような観点から一新したそうです。
ここに現在の「いーぐる」が誕生するに至ります。まだまだジャズについては知らないことが多いですが、少なくともこの後藤氏の立ち上げの想い、熱量というのは、とても励まされますね。
最後に
以上、少し長文になってしまいましたが、いーぐるについてご紹介させていただきました。
もちろん、ジャズを非常に心地よく楽しめたのですが、50年以上、様々な方にジャズの音楽が提供されてきた場に自分もいると思うと、「文化財の中にいる」ような錯覚を受け、不思議な感じがしました。
ジャズを楽しみたい方のみならず、スピーカーで音の良い音楽を楽しみたい方、人に邪魔されずに一人でゆっくりしたい方等ぜひ、ジャズ喫茶いーぐるに足を運んでみてはいかがでしょうか。
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